新製品
ハイブリッドクロムめっき
ハイブリッド構造でより高い耐食性の実現
「ハイブリッドクロムめっき」は、硬質クロムめっきのクラックにガラス系無機物を含浸させてハイブリッド化(複合化)した皮膜です。
硬質クロムめっきの弱点を無機物が補うことで機能性が大幅に向上します。
クラック起因の腐食を防止するめっき被膜の開発
硬質クロムめっきは高耐食性を有しためっき皮膜と呼ばれていますが、めっきの成長過程で必ず微細な割れ(クラック)が形成され、そこに腐食因子が入り込むと一気に腐食が進行するという側面を持っています。 そこで、クラックをガラス系の無機物で塞ぎ、耐食性に優れためっき皮膜を実用化しました。
長所:硬質クロムめっき表面には不動態膜が形成され高耐食性を示す
短所:クラックが内在するので腐食因子がクラック内に浸透して素地が腐食される
お客様の声
硬質クロムめっきの耐食性を改善し、腐食環境下でも長期的に安定使用したい
新製品「ハイブリッドクロムめっき」開発
硬質クロムめっきのクラックの奥底までガラス系/無機物を含浸させてクラックを封孔し、ハイブリッド化(複合化)することで高耐食性を実現しました
⚫︎高耐食性(キャス試験20日間赤錆発生無し)
⚫︎耐摩耗性・濡れ性が硬質クロムめっきと比べて優れている
⚫︎クラック内への異物の侵入防止
ハイブリッドクロムめっきの特徴
ハイブリッド膜の構造
硬質クロムめっきのクラックにガラス系無機物を含浸させハイブリッド化(複合化)した皮膜です。硬質クロムめっき皮膜の弱点を無機物が補うことで機能性が大幅に向上します。
ハイブリッドクロムめっきの模式図
表面のケイ素分布
深さ方向のケイ素プロファイル
耐食性
ハイブリッド化することで耐食性の大幅な向上が実現できました。(キャス試験20日で赤錆発生なし)
硬質クロムめっきの腐食メカニズム
硬質クロムめっきのクラックは研磨加工しても完全に潰すことができず、腐食因子がクラック内部に侵入すると局部電池を形成して鉄素地が溶解して赤錆が発生します。
このクラックをガラス系無機物で封孔すること(ハイブリッド化)により赤錆の発生を抑制します。
ハイブリッド化が硬質クロムめっきの腐食を劇的に抑制
キャス耐食性試験(JIS H 8502-1999)試験片:鉄板上のめっき皮膜
CASS試験時間/h | 1 | 2 | 4 | 8 | 24 | 48 | 96 | 240 | 480 |
Crめっき35μm | ○ | 赤錆 | |||||||
Niめっき35μm | ○ | ○ | ○ | ○ | 赤錆 | ||||
Ni40μm/Cr50μm | ○ | ○ | 変色 | めっき 膨れ | |||||
ハイブリッド クロムめっき50μm | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
ロール形状でのキャス試験の結果(キャス試験16日後の外観)
表面機能性
耐摩耗性や濡れ性等を兼ね備えた高機能表面処理も作製可能です。
鏡面仕上げの保証可能粗さについては用途や形状によって異なるためお問い合わせ下さい。
耐摩耗性試験
各種表面処理における水の接触角
硬質クロムめっき | ハイブリッドクロムめっき | |
接触角 | 76° | 110° |