硬質クロムめっき
美しい外観と優れた耐久性を兼ね備えた、代表的な工業用めっき。
硬質クロムめっきは、耐摩耗性、耐食性、離型性等多くのすぐれた機械的特性を持つ代表的な工業用めっきです。
美しい外観とその優れた特性から様々な用途に使われています。
硬質クロムめっきの特徴
硬度
一般的にはHv700以上とされています。
オテックでは液組成の調整により、Hv900以上の高硬度のめっきをご提供しております。
各種めっき皮膜および金属素材の硬さ
めっき および鋼種 | 硬度(Hv) |
クロアモール(弊社オリジナルめっき) | 1500〜1800 |
クロムめっき | 800〜1000 |
ニッケルめっき | 400〜500 |
ニッケル-リンめっき | 400〜500 |
ニッケル-リンめっき(熱処理) | 800〜1000 |
銅めっき | 60 |
亜鉛めっき | 40 |
アルミ及びアルミ合金 | 20〜140 |
中炭素鋼焼入れ焼戻し | 160〜285 |
オーステナイト系ステンレス鋼 | 200〜260 |
クロムモリブデン鋼 | 245〜440 |
冶金学的製法と電気的折出による各種金属の硬さの比較
耐摩耗性
摩擦係数が小さく、耐摩耗性に優れています。
耐熱性
400℃以上に加熱することにより、急激に硬度が低下します。オテックではめっき後の水素除去の為のベーキングは専用の炉を使用し、厳密な温度管理の下に行っています。
加熱によるクロムめっきの硬さ変化(加熱時間3時間)
耐食性
塩化物以外の化学薬品に対して安定しています。
保油性
めっき表面の微細なクラックの影響により保油性に優れています。保油性をさらに高めたい場合にはクラックを広げたポーラスクロムめっきにも対応できます。
その他特性
- 処理温度が約50℃と低温であるため、素材への熱的影響がほとんどありません。
- 加工表面の粗さが自由に設定できます。(超鏡面(0.05S以下)、梨地(マット)、セミマット、ミラーポケット等)
- 寸法精度の確保及び再加工や部分加工(肉盛り)が可能です。
- ニッケルめっきを下地にはることで、耐食性を向上させることができます。
加工可能な下地素材
鉄鋼、ステンレス、アルミニウム、銅、銅合金、ニッケル、チタン等広範な金属素材に施工可能です。
硬質クロムめっきの用途
各種ロール、各種金型、シリンダー、ピストン、ピストンロッド、各種シャフト、コーターバー等
光学用フィルム製造用クロムめっきロール
コーターバーへのクロムめっき
ピストン
硬質クロムめっき関連設備
めっき槽 総液量 | 11槽 約120,000リットル |
整流器 | 23台(総電気量 約83,000A) |
クレーン | 10トン他 |
円筒バフ研摩機 | 7台(最大φ850×6000) |
内径バフ研摩機 | 2台 |
液体ホーニング設備 | 1台 |
大型ベーキング炉 | 2台(内寸W1,600×L5,300×H1,400) |
※大型ベーキング炉での熱処理のみの仕事も請けたまわります。